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> 梨木 香歩 著 『家守綺譚』
奇譚・・・世にも珍しく面白い物語・言い伝え
綺談・・・面白く仕組まれた話
             ― 岩波書店 『広辞苑』第五版 より
この二つがうまく組み合わさった静かな本。
時代・場所は約百年前の京都。
ちょうど京都では内国勧業博覧会が開かれた頃です。
とはいえ、魑魅魍魎が未だ跋扈するという設定です。

梨木 香歩 著 『家守綺譚』_b0008784_11473091.jpg何より目を引いたのは、見返しの
神坂雪佳の「白鷺」と「巴の雪」でした。
というのは去年の秋、京都国立近代美術館で
開かれていた神坂雪佳の回顧展を
観に行ったからです。
その中にこの「白鷺」も「巴の雪」も出展されていた、
と記憶しています。
神坂雪佳 百々世草
―近代図案コレクション

神坂 雪佳 / 芸艸堂
ISBN : 4753801985
梨木 香歩 著 『家守綺譚』_b0008784_122385.jpg神坂雪佳(慶応2~昭和17)は、
東京遷都という打撃をうけた明治の京都で
美術界を復興しようという動きの中、
四条派・琳派の流れを汲んだ
近代デザインを、産業化・近代化に
あわせ、かつ日常的なものとする、
新しい絵画工芸の普及に努めた人物です。
この見返し絵が、「家守」のお屋敷にかかる
掛け軸を表すとともに、この小説の時代の、
とくに京都の、雰囲気をよく表しているとおもいます
(それを知ってか知らずか、図書館の司書さんが保護シールを貼る前に、
ジャケットの端っこを、絵がよく見えるように、切ってくれているのが憎いっ!)


それから、もう一つ気になったのは、書き手・綿貫征四郎が
「家守」を任されるお屋敷のこと。
 家の北側は山になっている。山の裾には湖から引いた疎水が走っている。家の南は田圃だ。その田圃に疎水から用水路が引かれている。その水路の途中が、この家の池になっている。ふたまた続きの座敷にL字を描くように縁側が付いていて、そのL字の角にあたる所の柱が、池の中の石の上に据えられている。縁側から池を挟んだ向こうに、サルスベリがこちらに幹を差し掛けるようにして立っている。
                           ― 「サルスベリ」
梨木 香歩 著 『家守綺譚』_b0008784_13481861.jpg疎水が走っている南禅寺周辺には、
山県有朋が建てた無隣庵、
大和銀行創設者の野村徳七氏が
建てた野村碧雲荘、
薩摩出身の実業家・伊集院兼常の
別荘として建てられ、
後に市田氏所有となった對龍山荘、
あの元首相の細川氏の細川別邸など、
高級住宅が散在していることで有名です。
とくに、對龍山荘はAGUAさんで見ると
池の中の石の上に柱があり、
モデルとしてとても近そうです!
 ↑ 何有荘が公開されたときの看板より (観に行っておりません)

初めに魑魅魍魎が跋扈する設定、と書きましたが、さほどおどろおどろしくはなく
出てくる幽霊も河童もマリアさまも小鬼も人魚も狸に狐もみなユーモラス。
ただ主人公をからかいに遊びに来ている様子です。
文明の進歩は、瞬時、と見まごうほど迅速に起きるが、実際我々の精神は深いところでそれに付いていっておらぬのではないか。鬼の子や鳶を見て、安んずる心性は、未だ私の精神がその領域で遊んでいる証拠であろう。漸く私の精神も時代の進化と齟齬を起こさないでいられなるようになるのかもしれぬ。
という学士綿貫征四郎は、文明開化後の精神労働者として
悩んでいる様子がほほえましくおもえます。

また京都を知っているものにとっては京都南禅寺周辺の雰囲気を思い出したり、
そして一乗寺の狸谷不動山(ここの交通安全のお守りが貼ってある車はこちらで
よく見かけます^^)に、吉田神社(節分発祥の地で鬼遣らいの行事があります)と
京都の四季折々や日常を頭の中に浮かべたり、とても興味深い小説です。

家守綺譚
梨木 香歩 / 新潮社
ISBN : 4104299030
次に、この小説と対の『村田エフェンディ滞土録』を読みたいとおもっています。
村田エフェンディ滞土録
梨木 香歩 / 角川書店
ISBN : 4048735136
今日の京都は、雪が降っているそうです。
* 新潮社HPで、梨木さんが『家守綺譚』など自作を語っているのを聞けます。
  → 『家守綺譚』(「作家自作を語る」でRealTime Player要)
by chubb3 | 2005-02-20 11:49 | 京都本

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